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教育とICTのいま #04/算数科における学びに向かう力とICT活用(後篇)

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北陸学院大学教授:村井 万寿夫

金沢市立小学校教諭、石川県教育センター指導主事、金沢星稜大学教授・副学長を経て現職。教育学博士。専門は教育工学、教育メディア学、教科教育学など。

学びに向かう力とICT活用

第1学年 D データの活用「くらべよう」

今回の改訂により算数の領域として「D データの活用」が新たに設定されました。算数編では絵や図を用いた数量の表現について示されています。これと学びに向かう力とを関連付けながらICTを活用する授業について考えてみましょう。

ものの個数を数えたり比べたりするときの例として、動物を並べて数の大小を比べる素材があります【図1】

きりん、ぞう、うさぎ、しまうまを並べることは紙で作った具体物でも可能ですが、数の大小を比べやすくするためには大きさを揃える必要があります。そこで、児童のタブレット端末に動物の絵を準備し、児童自らの(指の)操作によって、例えば、しまうまの大きさに合わせてきりんとぞうを小さくし、うさぎを大きくして、大きさを揃える活動を展開します【図2】

このような活動には指操作ができるタブレット端末が効果的で、児童の学びに向かう力「楽しさを感じながら学ぶ態度」の育成につながります。教室に電子黒板だけしか設置されていない場合、それを用いて学級全体で行ってもよいでしょう。

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第2学年 A 数と計算「かけざん」

第1学年における数のまとまりに着目する経験を踏まえ、第2学年ではものの数をまとまりとして捉えることで構成を再現しやすくなることに気付き、乗法的にみることへとつなげていくことがねらいとなります。このため、算数編では「団子の数」(1本の串に4個の団子が3本ある写真)や「児童の絵」(横に4枚、縦に3枚貼ってある写真)が例示されています。

これらを電子黒板で提示しながら数のまとまりに関心を持つ活動につなげていきますが、その次の活動として児童自らが数のまとまりを探してくる活動へと発展させることで、学びに向かう力「算数で学んだことのよさを感じながら学ぶ態度」の育成につながります。

【写真1】は、児童がタブレット端末を持って校舎内を回り、体育館でボールをまとめておいてある様子を写真撮影してきたものです。児童はこれをもとにかけざんの問題を作り、全体の場で問題を出し、友達から出た考え(答え)を電子黒板に書き込み、学級全体で乗法との出会いが深まっていきました。

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第3学年 D データの活用「表と棒グラフ」

表を用いて整理する際にもタブレット端末の活用は効果的ですが、棒グラフに表す際には更に効果的です。もちろん棒グラフを物差しと鉛筆を用いて書く技能の習得も大事です。

実際、児童が書いた棒グラフを一つ一つ教師が確認していくことは時間がかかります。また、児童は「待ちの姿勢」になってしまい、学びに向かう力が弱まります。そこで、タブレット端末を用いてグラフ化する活動が考えられます。物差しと鉛筆を用いて棒グラフを書けるようになったら、次の棒グラフを書く問題をタブレット端末で解決する学習へと発展させます。そして、棒グラフを書き終えたら児童同士で確認(合っているかどうか確認)させます。

この際に、学習活動ソフトウェアの[画像合成]機能がとても便利です【図3】。タブレット端末の画面同士を重ね合わせることができます。これを用いると簡単な操作でそれぞれの児童が書いたグラフを重ね合わせることができるので、児童自らで確認することができます。まさに、学びに向かう力の発揮と言うことができます。

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第4学年 D データの活用「折れ線グラフ」

タブレット端末の活用方法は上述した「表と棒グラフ」と同様です。共通のグラフ用紙を教師が用意して、児童自らタブレット端末を用いて折れ線グラフを書きます。

この学年ではグラフを見て考察することもねらいとなりますから、書いたグラフを使って最も多い(高い)点や最も少ない(低い)点に印を付け、それらを重ね合わせることにより、グループや学級成員の“印”の箇所を定量的に見て取る活動が実現できます。こうすることで第4学年に求められる「数学的に表現・処理したことを振り返る」ことが児童同士で出来るようになります。

ここでもタブレット端末の画面同士を重ね合わせることができる[画像合成]が重宝します。小学校や中学校の学習指導で徐々に活用されてきています。

第5学年 B 図形「平面図形の面積」

この学年においては、三角形や平行四辺形、ひし形及び台形の面積について、図形の見方を働かせて、第4学年までに学習してきた長方形や正方形の面積の求め方に帰着し、計算によって求められることを理解することが大切である、と算数編で示しています。また、三角形や平行四辺形の底辺や高さの関係の理解を確実にすることが必要であり、等積変形といった図形の操作活動に伴って、底辺をどこにとるかで高さが決まることを理解させることが大切であると示しています。

そこで、例えば、高さが決まっている場合には底辺をどこにとっても面積が同じであることを実感を伴って理解できることを意図してタブレット端末を活用します。【図4】のように高さをアとイによって定めたワークシートをタブレット端末に配布し、底辺BCの長さを指示して書かせ、出来上がった三角形ABCをお互いに重ね合わせることで、形が違っても面積が同じであることに気付くことができます。これは平行四辺形でも応用できます。

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第6学年 B 図形「縮図や拡大図」

縮図や拡大図は、大きさを問題にしないで、形が同じであるかどうかの観点から図形を捉えたものであり、実際に、縮図や拡大図を書くに当たって、例えば、方眼紙の縦、横の両方の向きに同じ割合で縮小したものを書く場をとり、児童相互や教師によって確認したのち、拡大したものを書く場面にタブレット端末を活用します。

タブレット端末上の方眼に一つの頂点を決め、もとの図の拡大図を書き、お互いの図を重ね合わせます。これによって児童相互に確認することができます。重ねた図がずれている場合、角の大きさが等しいか、対応している辺の長さの比が一定かについて自ら調べる活動へとつながっていきます。

このような学習は、第6学年に求められる学びに向かう力としての「多面的に捉え検討してよりよいものを求めて粘り強く考える態度」の育成に期待できると言えます。

おわりに


これから求められる力の一つとしての「学びに向かう力」について、算数科の学習指導をもとに述べてきました。

ICT環境として電子黒板やタブレット端末が整備されていたら、私が述べたことで本当にその力(態度)の育成に期待できるか、是非、トライしてみてください。

学びに向かう力とICT活用について、他教科でもトライしてみてください。その際には当該の教科で求められる「学びに向かう力」を学習指導要領解説で確かめてみてください。


第5回/教育情報セキュリティポリシーと学校のICT(第1回)