パーソルグループとSky株式会社は、sightを通してエンジニアの自分らしいキャリアを応援しています

女子大生プログラマ・羽柴彩月が目指す─格差を超え、人々に寄り添うことができる本当のテクノロジーとは?

勉強を楽しくするサポートアプリ「Stuguin」をリリースし、多数のメディアに天才女子高生として取り上げられた羽柴彩月さん。現在は、慶應義塾大学環境情報学部でテクノロジーと心理学を結びつけた、モチベーションに関する研究をしながら、アプリ開発も行っている。次は何億人もの人に役立つアプリを作りたい、と語る彼女の思いとは──。

羽柴彩月さん

Profile

慶應義塾大学環境情報学部 「Stuguin」開発者 羽柴 彩月(はしば・さつき)氏

1997年生まれ。高校1年生でiPhoneアプリ開発を始め、高校2年の冬に「勉強をもっと楽しくする」というコンセプトのモチベーション管理アプリ「Stuguin」をリリース。多数のメディアに天才女子高生として取り上げられる。その後、慶應義塾大学環境情報学部に進学。サイバーエージェント、クックパッド、Google、メルカリなどでインターンを重ねる。

プログラミングは辛くて、楽しい私の天職

プログラミングができる女子高生が珍しいこともあり、いろいろなメディアに取材してもらったりしていましたが、中身は普通の女の子です。落ち込む時も、悔しがることもいっぱいあります。

Googleのインターンに落ちた時もそうでした。インターン先で設計の説明をされても全然理解できなかったり、コンピュータサイエンスの本を読んでもチンプンカン。どれだけ基礎にさかのぼっても問題が解けないこともあって、コンピュータサイエンスって自分に向いていないのかもと落ち込んだこともあります。

自分はデザインやUIが好きなので、そちらに特化していくという道もあるかもしれないけど、それでもアプリ開発に関わるのであれば、最新のテクノロジーを無視することはできない。

テクノロジーの勉強は分かる範囲が広がると同時に、理解できない範囲もどんどん広がっていく。それでも、勉強は続けるしかない。テクノロジーに関わると決めたからには、それが宿命なのもしれませんね。

羽柴彩月さん


iPhoneアプリを書くために、Swiftの勉強はずっと続けています。最近はSwift言語での開発事例について議論する国際コミュニティ「try! Swift」に参加したり、東京で開かれたカンファレンスにも顔を出しています。英語のハンデもあって、何の話をしているのかわからないセッションも多いんですけど(笑)。

しかし、そんなことでめげてはいられない。プログラミングをしていれば、必ずバグが出たり、エラーが出たりします。それを調べて直し、完全にコードを理解して、だからこのコードが一番いいという感じで書けた時には、ものすごく達成感があります。

プログラミングは楽しいし、やりがいもある。だから勉強を続ける。辛い時もあるけど、プログラミングから全く離れたような仕事をしようと考えたことはありません。

何億人もの人が使うプログラムを開発したい

「Stuguin」のAndroid版はJavaで書いていました。それとは別に、競技プログラミングもやっていて、それもJavaで書いていましたね。

Swiftが大好きな私ですが、違う言語を触ることで、Swiftのここがいいとか、こんな設計ができるんだということがわかります。それぞれの言語の良さを理解するためにも、複数の言語が使えるようになることは重要だと思います。

とはいえ、最初から並列してやる必要はないと考えています。私も最初に覚えたObjective-CやSwiftをある程度まで理解してから、Java、Go、PHPなどへと関心を広げていきました。一つの言語でプログラミングの基礎ができていれば、他の言語でも、調べればここはこう書けばいいとすぐわかるようになります。

iOSは、スティーブ・ジョブズがいたからこそできたソフトウェアであるけれど、未来永劫残るとは思えない。たとえ、iPhoneがなくなる日が来たとしても、基礎があって、他の言語への関心があるのであれば、すぐにほかに移れるし、エンジニアとしては生きていけると思います。

羽柴彩月さん


何よりも、エンジニアのモチベーションは、プログラムを書くことだけじゃないですよね。プログラムを書いて、アプリというプロダクトに仕立てて、それをリリースすれば、ユーザーからの声を聞くことができます。

私自身が「Stuguin」を使って勉強できたという達成感があったし、他のユーザーのみなさんからも同じような声を聞けた。そんな時は、私のプロダクトがユーザーに直接影響を与えているんだなと、嬉しくなりましたね。

これからもユーザーが使うものを提供していきたいという気持ちは大きいです。だから億単位のユーザーがいるGoogleという企業は、私にとって大きな魅力なんです。

Googleはインターンだけじゃなくて、一度は社員として入って、そこで働きたい会社です。私には将来、海外で働いてみたいという夢があるので、その最短ルートとして一番効率がいいと思って狙ってます(笑)。

ダイエットに失敗する人の、悲しい思いをなくしていきたい

私がこれまで育ったのは、インターネットやコンピュータサイエンスを活用したビジネスが世界中で展開され、テクノロジーをコアにした会社がどんどん生まれきた時代。これからテクノロジーがどんな方向に進むか、とても楽しみです。

テクノロジーを使ってやりたいのは、今まさに大学でやっている、人間のモチベーションをいかにコントロールできるようにするかという研究です。

人はダイエットしたいのに運動できないとか、タバコをやめたいのに禁煙できないとか、理想と矛盾した行動をとってしまうもの。つい目先の利益を取ってしまう。それで、自分はダメな人間だと悲しい気持ちになってしまう。そういうのをなくしていきたいんです。

羽柴彩月さん


行動を記録するだけでも、習慣を変えることに効果があると言われています。例えば、禁煙したい人は、禁煙できた時間や今日吸ったタバコの本数を記録すれば、それが禁煙のモチベーションに繋がったりする。自分で記録するのは大変だから、そこはテクノロジーで自動化したいなと。

自動化することで、ユーザーは何もせずとも、自分のタバコの本数が分かる。その数値を可視化してあげるだけで、こんなに吸っているのかと、行動が変わるきっかけになります。つまり、テクノロジーが人間の行動変容を促すわけです。

たしかにいいお医者さんがいて、いいジムがあればコントロールできるのかもしれないけれど、それだと、そういう人や施設に巡り合えない人はできないということになってしまう。

でも、テクノロジー、例えばアプリなら24時間365日、世界中どこでも使うことができる。地域格差や貧困格差のないところで、人々に寄り添うことができるのが本当のテクノロジーだと思うんです。

もちろんそのためには、コンピュータサイエンスだけではなく、動機づけなど心理学な知見も必要になります。これまでITがなかった時代からされていた心理学の研究に、テクノロジーを用いたアプローチをしていく。

そうすることで、もっと堅実にモチベーションが上がる取り組みができていくんじゃないでしょうか。ぜひともそれを学部の卒業研究にまとめたい。そして、それをベースにしながら、もっと奥深い世界にチャレンジしていきたいと考えています。